検察が重要証拠を開示せず 裁判所が有罪判決を破棄

 8日付のニューヨーク・タイムズによると、7日、ブルックリン区のニューヨーク州最高裁判所が、殺人の罪で2015年から無期懲役刑に服していた男の有罪判決を、検察が無罪を証明する証拠を開示していなかったとして破棄した。
 ブルックリン区出身のウェイン・マーティンは、10年に小売店に強盗目的で押し入り、そのオーナーと従業員1人を銃殺したとして有罪判決を受けた。しかし先月、同区検察局の調査機関は、有罪判決に至るまでに、ほかの容疑者が犯人であることを示す証拠をマーティンの弁護士に渡していなかったことが判明し、裁判所に報告した。証拠のうち1つは、刑事による目撃証言をまとめた報告書で、別の容疑者が犯人との示唆がある。さらに、検事による報告書には改ざんの形跡がみられ、別の目撃者によるジェフリー・ジョセフという男を犯人とした証言が削除されていた。
 その結果判決は破棄されたが、検察は起訴を取り下げておらず、捜査を続行しマーティンを再度裁判にかける可能性があるという。また、重要証拠を開示していなかったことについては、悪意は無かったとしている。
 マーティンの弁護士は検察の捜査を歓迎し、同氏が無罪であることが明白になると確信していると述べている。

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