成年後見人制度とは
認知症になってしまった人の健康管理や財産管理は誰が行えばよいのでしょうか。また、書類に署名が必要なときは? 今回は判断能力が十分でなくなった人の成年後見人手続き(Guardianship Proceeding)をご紹介します。
本人に通常の判断力があるうちに、委任状(Power of Attorney)や医療委任状(Health Care Proxy)を作成しておけば、判断能力がなくなった後も代理人が諸手続きや医療についての判断を下すことが可能ですが、何も書類がない場合は裁判所での手続きが必要となります。
後見人の申し立て
18歳以上であれば、本人や家族、同居人のほか、血縁のない知人、または非営利団体や行政も後見人の任命申し立てをすることができます。関係者はその申し立てに反対することもできます。
ヒアリング
この場合の申し立てには必ず裁判所でのヒアリングが必要となり、そこで当事者が本当に判断能力がないのか、また申立人が後見人として適格かを裁判官が決定します。後見人には身の回りのことや医療についての決定権があるGuardian of the personal needsと、財産の管理をするGuardian of the propertyの2種類があり、両方に1人が任命される場合と、2人が1つずつの役割を任命される場合があります。裁判官の判断で申立人以外を後見人として任命することもあります。
後見人の義務
後見人は、任命後90日以内に後見人としての仕事を学ぶためにトレーニングを受ける必要があり、また同期間内に裁判所の指定する審査員に最初の報告書を提出する必要があります。財産の管理を任される後見人は、そのときに対象となる人の財産目録も一緒に提出します。そのほか、後見人は毎年の年次報告書の提出義務や必要に応じて適宜報告書を提出する義務があります。なお、後見人は作業に対する報酬を得ることができますが、その受け取りには裁判所の許可が必要です。
*成年後見人制度の詳細につきましては、各地区裁判所の「Guardianship and Fiduciary Support Service」にお問い合わせください。
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飯島真由美 弁護士事務所
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NY州認定弁護士。法政大学文学部、NY市立大学ロースクール卒業。みずほ銀行コンプライアンス部門を経て独立。2010年に飯島真由美弁護士事務所を設立。家庭法、訴訟法、移民法など幅広い分野で活躍中。趣味はカフェ巡り。