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共同通信
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日中両政府は9日、16日を軸に米国での開催を検討する岸田文雄首相と習近平国家主席の会談に向け、調整を本格化させた。東京電力福島第1原発の処理水海洋放出を巡る日中の対立緩和につながるかどうかが最大の焦点となる。秋葉剛男国家安全保障局長は9日、北京に入り、王毅外相と3時間半にわたり詰めの協議を行った。秋葉氏は協議後、記者団に「中身の濃い会談が持たれた。会談内容に満足している」と語った。
中国は処理水放出に関し「『核汚染水』を太平洋に排出し、リスクを全世界に押し付けた」(外務省報道官)と非難。日本は科学的根拠に基づいた対応を求め、溝は埋まっていない。首脳会談が実現すれば、首相は中国による日本産水産物の輸入規制措置を撤廃するよう求める構えだ。
会談ではこのほか、沖縄県・尖閣諸島周辺の中国海警局の船による領海侵入に重ねて懸念を表明。台湾海峡の平和と安定の重要性を強調する見込み。中国で相次ぐ邦人拘束も取り上げるとみられる。
今年は日中平和友好条約の締結から45周年の節目に当たる。