「人権尊重の経営を」と訴え

Published by
共同通信
自宅で高橋まつりさんの遺影を抱く母幸美さん=2022年

 広告大手電通の新入社員高橋まつりさん=当時(24)=が、長時間労働やパワハラに苦しんだ末に自殺してから、25日で8年となり、母の幸美さん(60)が手記を公表した。今でも「悲しみが癒えることはない」と心情をつづり「最も大切なのは、働く全ての人の人権を尊重した経営を行うことだ」と訴えた。

 手記では、今年問題になった医師の過労死や、宝塚歌劇団の女性俳優の急死に言及。長時間労働が当たり前の医療現場、上下関係が厳しい歌劇団の文化から「当時の電通の社風が思い起こされる」と指摘し、人権侵害に確固たる姿勢で臨んでほしいと経営者らに呼びかけた。

 亡くならなければ、32歳となっていたはずの娘をしのび「人生も仕事もいっぱい頑張って、幸せに生きていたに違いない」と悔しい思いを吐露。自身はがん治療を乗り越え、体調が万全ではないが過労死防止活動を続けていると報告し「誰もが安心して働き、希望を持って人生を送れる国になるよう、まつりと共に力を尽くす」と誓った。