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共同通信
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中国当局が民主化運動を武力弾圧した天安門事件から2年半後の1991年11月、当時の橋本恕・駐中国大使が、中国は必然的に「民主化」すると分析し、翌92年の天皇訪中を目指すよう進言する極秘意見を外務省に伝えていたことが、28日までに公開された外交文書で分かった。訪中は92年10月、中国の要請に応じる形で実現した。天安門事件後も中国は民主化への歩みを続けるとの見通しに基づき、外務省が訪中計画を進めていた実情を裏付けた形だ。
中国は現在、共産党独裁体制の下で世界2位の経済大国となり、覇権主義的な動きを強める。当初の民主化予測は外れつつあると見る向きが多い。今回公開された文書は、天皇訪中の評価や成果を巡る議論に一石を投じそうだ。
大使の意見を記したのは、91年11月28日付の渡辺美智雄外相宛ての極秘電報。天安門事件で批判を浴びた中国に関し「必然的に民主化・自由化の方向をたどらざるを得ない」と断じた。民主化へ新たな動乱が起きると予想しつつ「向こう1、2年は小康状態」が続くとして、翌年の天皇訪中を進言した。