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共同通信
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公的年金の支給や保険料徴収を担う日本年金機構で理事長を約11年務めた水島藤一郎氏(76)が、今月末の退任を前に共同通信のインタビューに応じ「組織のガバナンス(統治)改革に取り組み、前身の旧社会保険庁時代から長年続いてきた懸案を解決できたと思う」と述べた。成果として国民年金の保険料納付率アップなどを挙げた。
水島氏は民間出身。三井住友銀行の副頭取などを経て、2013年に年金機構の2代目理事長に就いた。旧社保庁では、持ち主が特定できない約5千万件の「宙に浮いた年金記録問題」といった不祥事が連続。水島氏は「職員は自信を失い、打ちひしがれた組織だった」と振り返った。
任期中もサイバー攻撃による個人情報流出や、業務委託先のずさんな処理などの問題が相次いだことから「結果を出す必要があると考え、業務ごとに目標を設定。人事評価と結び付け、組織の体制も抜本的に変えた」と話した。
就任当時、国民年金保険料の納付率は60%を下回っていたが、納付督励や電子決済の導入などを進め、22年度には76.1%に上昇。