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共同通信
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もとになった個体と同じ遺伝情報を持つクローンのアカゲザルを誕生させ、2年以上生存させることに成功したとの研究成果を、中国科学院などのチームが16日付の英科学誌に発表した。クローンを作る過程で、子宮内で胎児と母体をつなぐ胎盤の働きに関わる遺伝子に異常が起きているのを見つけ、正常化する方法を開発したという。
チームは、皮膚などの体細胞から核を取り出し、核を取り除いた卵子に注入して新たな個体をつくる「体細胞クローン」と呼ばれる手法を改良した。
チームは、アカゲザルの皮膚の細胞から取り出した核を使って、子宮に着床する直前のクローンの「胚盤胞」を作り、通常の人工授精で作った胚盤胞と比較。その結果、クローンの胚盤胞では、将来胎盤に成長する部分で複数の遺伝子の働きに異常があることが分かった。
チームは、クローンの胚盤胞から将来胎児になる部分を取り出し、人工授精の胚盤胞の同じ部分と移し替える手法を開発。この手法で11個の胚盤胞を作り、うち1個から正常な子どもが誕生した。従来の約10倍の成功率だという。