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共同通信
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シジミが特産の宍道湖(しんじこ、島根県)が淡水化したのは13世紀だった―。島根大と秋田大、国立科学博物館の研究チームは、湖底の堆積物に含まれるプランクトンのDNAから種類を特定する方法により、淡水で生きる種が急増した時期を推定したと発表した。海水と淡水が混ざる汽水湖だが、現在のように塩分濃度が低くなった時期はこれまで判然としていなかった。(共同通信=白神直弥)
淡水化すると湖で取れる魚の種類も変わり、周辺住民の生活に影響が出たとみられる。チームは「地域の歴史を正確に記述する手掛かりになる」と期待している。
宍道湖については、2千年前までは高塩分だったとする先行研究がある。チームリーダーで島根大の仲村康秀助教(海洋生物学)によると、淡水化の原因は西側に位置する斐伊川(ひいかわ)の流れの変化とされるものの、時期は不明だった。
チームは、水中や泥の中に含まれる無数のDNAから、プランクトンの種類を特定する技術を活用。湖底にパイプ状の器具を刺し、2300年ほどかけてたまった約4メートル分の堆積物を採取、分析した。
その結果、13世紀ごろより過去に堆積した層には高塩分で生息するプランクトンのDNAが多く検出された。一方、それ以降は淡水で生きる種類が急増した。
斐伊川の流入先に関し、仲村助教らは13世紀ごろに西の海から宍道湖へと変わったとみる。江戸時代の文献には、17世紀の洪水で川の流れが変化したとするものがあり、分析によれば淡水化の時期は記述より約400年さかのぼる。
チームは気候変動に関する調査のため、かつて湖だった陸地部分でさらに古い年代の堆積物を採取、分析している。
仲村助教は「過去の環境を推定し、生態系への影響を考える材料にしたい」と語った。