10月31日付のニューヨーク・タイムズによると、ニューヨーク市とイスラム教徒団体の間で合意された、市警察(NYPD)による行き過ぎた捜査活動に対する和解策を、マンハッタン区の連邦地方裁判所が同日、却下する判決を下した。
NYPDによる過去十年間に及ぶ警察活動が、イスラム教徒の権利を侵害してきたとして、市を相手取った2件の集団訴訟が提起されていたが、ビル・デ・ブラシオ市長は今年1月、NYPDの反テロ活動を監視するために民間弁護士を監視役に指名することに合意した。しかし、チャールズ・S・ヘイト・ジュニア判事は、「監視役に与えられた役割と権限は、法を順守するイスラム教徒の権利を侵害する可能性がある」との理由で和解を却下した。
2001年9月11日の同時多発テロ後、NYPDのレイモンド・ケリー本部長(当時)が、市民による監視と警察活動に対する既存規制が市を危険にさらしていると主張した際、同判事はこれを認め、民間監視役を廃止し、本部長および中央情報局(CIA)に広範囲に及ぶ権限を与えていた。これにより、イスラム教徒が多く住む地域での度を越えた警察活動が行われたため、今回の判決はこれに歯止めを掛ける役割を果たす。