10月30日付のFOXニュースによると、マンハッタン区のリンカーンセンターにあるメトロポリタン歌劇場で、観客の男性が粉のようなものをまいたことで公演が中止になった事件で同日、ニューヨーク市警察(NYPD)はテロや故意の犯罪の可能性は低い見解を示した。
同29日午後、ロッシーニの「ウィリアム・テル」が上演されていた午後の2回目の幕間に、最前列の座席の前に立った男が、オーケストラ席に向けて粉状の物質をまいた。幕間であったため、演奏者はほとんど席を外していた。男は複数の観客に、「オペラの先輩である亡くなった友人の遺灰をまきに来た」と語っていたという。NYPDは、遺灰をMET内に捨てるという行為は市の規定に触れる可能性はあるものの、現時点で男に犯罪の意思があったことは確認されていないと発表している。
夜の上演が予定されていたロッシーニの「アルジェのイタリア女」も中止となり、METの総支配人は、「オペラ愛好家がMETに来てくれるのはうれしいが、遺灰は持ち込まないでもらいたい」と述べた。
粉の正体が分かるまでは安全が確保できないという理由から、事件直後の公演と当日の夜の上演が中止となっていた。