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共同通信
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東京電力福島第1原発事故により帰還困難区域が残る福島県大熊町は、閉校した町立熊町小の校舎を、当時の在校生らに事故後初めて開放した。老朽化で危険になる前に学用品などを引き取ってもらうためで、3日は報道陣に様子を公開。訪れた人は懐かしい教室で足を止めたり、友人との再会を喜び合ったりした。
2~4日の3日間、計約220人の町民らが同小と幼稚園、児童館で私物を引き取る。校舎が除染されていないため、多くは滞在が1時間前後だという。
会津若松市に避難した卒業生の半谷洋輔さん(24)は、5年生の教室からランドセルなどを持ち帰る。「学年を問わず仲が良かった。よく校庭でサッカーをして遊んだ」と懐かしく振り返った。
町は校舎を解体しない方針で、保存方法を検討している。津波で亡くなった木村汐凪さん=当時(7)=の父紀夫さん(58)は「教室にある方が汐凪を感じられる」として、娘の荷物はそのままにしておいた。現状での保存を望んでいる。
旧熊町小には2010年5月時点で約330人が在籍していた。