Published by
共同通信
共同通信
石川県珠洲市で唯一の公立病院「珠洲市総合病院」では、能登半島地震の発生直後の傷病者数が、災害訓練時の約10倍に上った。浜田秀剛院長(65)は共同通信の取材に「対応できた職員は全体の3分の1だった。訓練の想定をはるかに超えていた」と明かし、当時の混乱と今後の体制維持への不安を語った。
自宅近くの集会所で地震が発生。津波警報を知り、避難しようと一度は車で高台に向かったものの事態をのみ込み、病院へ急いだ。だがすさまじい渋滞。迂回を繰り返した先は地割れで行き止まりだった。車を乗り捨て、約2時間歩いて病院にたどり着いた。
地震直後に対応できた職員は30人ほど。夜には負傷者が押し寄せた。駆け付けた職員を合わせても全職員250人のうちの3分の1ほどだった。入院患者も地震前の約80人から数日後には約130人に増えた。
病院だけでは対応しきれず、災害派遣医療チームが約200人を転院搬送した。日本赤十字社石川県支部も、市内の道の駅駐車場に臨時の救護所を設置。浜田さんは「多くの医療者に支えられた」と振り返る。