Vol.71 女優 戸田恵子さん

 

女優 戸田恵子さん

 

戸田恵子 × 三谷幸喜
知られざる大スターの物語 

女優・声優として幅広く活躍する戸田恵子が、脚本・演出家、映画監督として 当代一の人気と実力を誇る三谷幸喜とタッグを組んだ舞台「虹のかけら〜もうひとりのジュディ」を6月25日(火)、27日(木)、ワイル・リサイタル・ホールで上演する。公演の下準備にニューヨークを訪れた戸田さんに、見どころや三谷作品の魅力について聞いた。

 

「カーネギーホールの楽屋入り口にはジュディ・ガーランドの写真が飾ってあるんですよ。そんな場所で公演できるなんて大変光栄です」

戸田恵子
NHK名古屋放送児童劇団に小学5年生から在籍し、ドラマ「中学生群像」 でデビュー。1977年、声優・野沢那智主宰の劇団・薔薇座入団し看板女優として活動。同劇団在 籍中に芸術祭賞演劇部門賞、葦原英了賞を受賞。第24回紀伊國屋演劇賞個人賞(89年)、日本 アカデミー賞優秀助演女優賞(97年)、第13回読売演劇大賞最優秀女優賞(2006年)、菊田一 夫演劇賞(18年)など受賞多数。声優としても活動し「キャッツ・アイ」「それいけ!アンパン マン」などのアニメの他、洋画の吹き替えも数多く手掛ける。愛知県出身。

−「虹のかけら」制作のきっかけは?
還暦の記念に一人芝居を作ってほしいと三谷さんにお願いしたのが始まりです。登場人物は歌手で、歌や踊りを通してその歌手の人生を語れる作品にしたい、と相談しました。

−インスピレーションとなった作品はありましたか?
強いて挙げるなら以前ブロードウェーで観たオードラ・マクドナルド主演の「レディ・デイ」でしょうか。ビリー・ホリデイ最後のコンサートの模様を、バックバンドのみの一人芝居で描いた作品で、「とてもおしゃれで素敵だった」と三谷さんにお伝えしました。−インスピレーションとなった作品はありましたか?

−ジュディ・ ガーランドと彼女の付き人を選んだのは?
最初の時点では波乱万丈な人生を送った日本人歌手ということで、江利チエミさんなどが候補に上がっていたのですが、三谷さんから「ジュディ・ ガーランドはどうですか?戸田さんにピッタリだと思うけど」と勧められて。彼女についてほとんどの人は映画「オズの魔法使い」しか知らないでしょうが、ジュディはアメリカのショービジネスを代表する偉大な歌手で女優です。わずか47年の人生も波乱万丈でした。

−戸田さんにとっての三谷作品の魅力とは?
台本が読みものとして既にすごく面白いということと、台本を上まわる演出力があることです。セリフとセリフ、いわゆる行間を埋めるアイデアをたくさんお持ちだし、役者の魅力を引き出すあて書きをしてくれる。それも「ピアノが弾けるからピアニストの役にする」といったものではなく「この人がこんなことをやったら面白いんじゃないかなぁ」というあて書き。その最たる例が、ピアノやギターが弾ける私にバイオリンが、サックスが吹ける小日向文世さんにピアノのポジションが与えられたミュージカル「オケピ」だったんですが。私たち役者もそこそこいろんなことを考えて練習に臨むのだけど、三谷さんはそれを数段上回る何かをいつも考えてくださるし、意表を突いてくる。舞台に限らず映画の監督をされたときもそうでしたが、私自身気づいていない引き出しを三谷さんが開けてくださる。だから(次の作品を)期待しちゃうし、三谷さんに任せておけば間違いない!と思っちゃうんです。

−ニューヨーク公演ということで内容は変わりますか?
こじんまりとした規模のワイル・リサイタル・ホールに合わせてシンプルなリサイタル形式を予定しています。ただし、ジュディ・ガーランド、ジュディ・シルバーマン、戸田恵子の3人による多重構成のプロットと曲目は日本で上演したオリジナルバージョンと同じになります。

−これまでにニューヨークで観たブロードウェー作品で最も印象に残っているのは?
数えきれないほどたくさんの舞台を観てきたので、とても1本には絞れないですが、パティ・ ルポンが大好きで彼女が出演する舞台は必ず観るようにしています。私が昨年、日生劇場で演じたミュージカル「エリザベス・ アーデン VS ヘレナ・ルビンスタイン」もパティが2016年と17年に主演した「ウォーペイント」という作品。実際にブロードウェーで観た作品を、それもパティが演ったヘレナ・ ルビンスタイン役を演れるなんて!長く生きていると、こんな「奇跡」もあるんだなぁと。1本挙げるとしたら、この作品ですね。

−ニューヨークの観客にメッセージをお願いします。
往年のスタンダードナンバーもあれば、「オーバー・ザ・レインボー」など皆さんお馴染みの歌もあります。最初から最後まで日本語で演りますが、難しいことを考えずに、頭を使わずに楽しんでいただけると思います。精一杯頑張りますので、ぜひ観に来てください! 

1月19日、FCI ニューヨークで取材(文・写真/本紙)

 

「虹のかけら〜もうひとりのジュディ」

2019年公演/撮影・宮川舞子

映画「オズの魔法使い」「スター 誕生」で知ら れる米エンターテインメント界の大スター、ジュディ・ガーランド。その生涯は華やかさと哀しみが 交錯した波乱万丈のものだった…。大スターの付 き人兼専属プロンプターとして影のように寄り添ったジュディ・シルバーマンの愛憎と女優・戸田 恵子の視点を通して描く大スターの物語。戸田の歌唱によるジュディ・ガーランドの名曲と朗読、語りなど多彩な表現も見どころの1つ。

作・ 構成・演出は舞台女優としての戸田の魅 力を知り尽くした三谷幸喜。作曲家・編曲家、ピアニストとして、テレビ・映画・舞台で縦横に活躍する荻野清子が音楽監督を、俳優で演出家・振付家の本間憲一がステージングを担当する。2018年初演。翌19年には全国23か所でツアー を敢行、好評を博した。今回は5月31日から6月15日まで東京・埼玉・新潟・愛知・大阪でプレビュー。同25日、27日のニューヨーク公演は、ジュディ・ガーランドが1961年4月23日にコンサ ートを行い、「ショービジネス史上最高の夜」と称えられたカーネギーホールで行われる。

構成・演出:三谷幸喜
出演:戸田恵子
音楽監督:荻野清子
振付・ステージング:本間憲一

演奏:荻野清子(ピアノ、編曲)
鈴木陽子(ベース)
BUN Imai(ドラム)

◆ニューヨーク公演
会場:ワイル・リサイタル・ホール(カーネギーホール)

日時:6月25日(火)、 27日(木)午後8時開演
チケットは公演の90日前から カーネギーホールのウェブサイトで購入可
www.carnegiehall.org

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