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共同通信
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「日本一のだがし売場」と名付けられた店が岡山県瀬戸内市にある。テニスコート10面分の広さの店に並んだ商品は、駄菓子を中心に5千種類。岡山駅から車で約40分と利便性は決して良くないが、約500台分の駐車場がほぼ埋まることもあり、店に入れば目移り必至だ。
たばこの形を模した「ココアシガレット」や「ヤングドーナツ」などの定番商品をはじめ、アイスクリーム味のガムといった変わり種や、菓子パッケージの柄をあしらった雑貨も。広島県から家族で来た中浜千穂さん(10)は「気付いたら1時間以上たっていた。地元にないお菓子がたくさんあり、見るだけでも楽しい」と声を弾ませた。
店を運営する「大町」は1952年、菓子卸業として創業したが、食品の価格競争が年々激しくなり、卸業だけでは先行きが見通せなくなった。経営の一助にと秋山秀行社長(65)が2011年、菓子を保管していた大型倉庫の一角で直売を始めると、珍しい品ぞろえで評判に。「もっと子どもを喜ばせたい」との一心で商品を次々と増やし、店も拡張。15年から「日本一」の看板を掲げ、今では倉庫の大半が売り場となった。
交流サイト(SNS)でも注目され、昨年の来客数はおよそ100万人。親たちも楽しめるよう、大人の目線に合わせて棚の上の方にラーメンや酒類を並べ、外には「神戸」「大阪」など県外ナンバーの車も目立つ。
「子どもは初めて見るお菓子を、大人はその懐かしさを楽しんでほしい」と秋山社長。目指すのは「3世代のテーマパーク」だ。