レザーの魅力はなんといってもそのエイジング。それはジーンズを履き込んで色落ちを楽しむ感覚と似ています。新品を手に入れて、時間をかけて自分なりの味を出していくのもいいですが、パーフェクトな経年変化を積んでいく工程は、日々汚れを拭き取ったり、ミンクオイルを塗ったりと、ケアには気が抜けません。たとえ年季の入ったヴィンテージのバッグであったところで、傷みや損傷が激しかったり清潔感に欠けていたら台無しです。
ロサンゼルスのダウンタウンで手作りしているバッグメーカー、サンダストの鞄は、アメリカに唯一残るシカゴの老舗タンナリー、ホーウィン社の高級レザー、そしてスイスの最高峰メーカーRIRI社製ジッパーを使い、長年使い込まれたような味わいの、タイムレスな魅力を持ったデザインのモダン・ヴィンテージルックとして仕上げています。驚くべきことは、経年変化のリアリティーを表現するために革をマッサージするようにオイルを擦り込むだけでなく、革の表面を火で炙るというアイデア。ひとつひとつ丁寧に加工が仕上げられています。
昨今のメンズウエアのなかでは、西海岸のカジュアルなスタイルが東海岸のメンズウエアに大きな影響を与えています。重厚感のあるレザーのドクターバッグなど、都会的なバッグをあえてカジュアルなスタイルに持てば、全体が引き立ちます。そしてその逆も然り。スーツやジャケットスタイルにあえて使い込まれたようなバッグが、フォーマルに武骨さをプラスし、個性ある味を与えることでしょう。
Sandast www.sandast.com
フリー・ジャーナリスト
Aya Komboo
www.ayakomboo.com
日本では数々の出版社で経験を積み、フリーランスへ転身。2006年よりロサンゼルスへ渡米し、現在はニューヨークを拠点にファッション/カルチャー誌などで活躍している。