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共同通信
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石川県珠洲市に伝わる「珠洲焼」の職人が使っている市内外20カ所の窯全てが、能登半島地震で倒壊するなどの被害を受けたことが27日、地元の作家団体「創炎会」や市の調査で分かった。平安時代末期からつくられ、15世紀に一度生産が途絶えたものの、戦後復活を遂げた珠洲焼は「幻の古陶」と呼ばれる。同会メンバーは全国の愛好家らの支援も得て、創作活動の再開に向けて準備している。
会長を務める篠原敬さん(63)の珠洲市の工房は幅2メートル、高さ1.7メートル、奥行き4メートルほどの窯が崩壊した。棚や倉庫に並べていた約150点の作品が床に落ちた。昨年5月の震度6強の地震でも崩れ、ボランティアとして訪れた全国の愛好家らに片付けを手伝ってもらい、約半年かけて再建。1月20日に初めて火を入れる予定だった。
篠原さんは工房から約140キロ離れた野々市市に避難した。全国の愛好家からは再び「再建を手伝う」とのメッセージが100件以上届いた。20~40代の若手からも「珠洲焼を続ける」という連絡が相次いだという。