Published by
共同通信
共同通信
原爆被爆者を親に持つ「被爆2世」への援護を怠ってきたのは不合理な差別で憲法違反だとして、長崎県などの2世ら計28人が国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、福岡高裁は29日、「遺伝的影響は証明されていない」として請求を退けた一審長崎地裁判決を支持し、原告側の控訴を棄却した。援護対象にしていないことは「憲法に違反しない」とも判断した。
同種訴訟は広島地裁にも起こされ、2023年2月に原告側が敗訴し、控訴。広島高裁で係争中。
高瀬順久裁判長は判決理由で「被爆者の子に死亡率、がん発症率の増加は認められていない」と指摘した。健康被害の可能性の前提となる放射線の影響について、被爆者と2世には医学・科学的に「現時点で顕著な差異がある」として、援護するかどうかは「国会の合理的な裁量判断に委ねられている」と結論付けた。
22年12月の一審判決は「遺伝的影響は可能性を否定できないと言うにとどまる」とし、立法府の裁量だと判断していた。
17年、広島、長崎両地裁に提訴し、2世1人当たり10万円の賠償を求めていた。