共同通信
北海道で、南国産のイメージが強いマンゴーの栽培が広がっている。従来は春から初夏にかけて出回るが、冷涼な気候や自然エネルギーを活用して端境期の冬に出荷し、独自色や付加価値を高めている。生産者は「時期を逆転させることで実が育つころは害虫が少なく、農薬を使わず高品質に仕上げられる」と胸を張る。(共同通信=石黒真彩)
農林水産省や沖縄県農林水産部によると、マンゴーはインドから東南アジアにかけてが原産地とされ、国内では宮崎、鹿児島、沖縄の各県が主な産地。ビニールハウス栽培が主流で冬から春に開花し、実がなる4月以降は気温25~30度に保つ必要があるという。
北海道帯広市の「ノラワークスジャパン」(中川裕之社長)は2010年から音更町のハウスで栽培に取り組んでいる。糖度15度以上の商品を「白銀の太陽」とのブランドで販売。低い湿度が好条件といい、えぐみがなく、とろけるような食感が特徴だ。
2010年にイベントで知り合った宮崎県日南市の生産者から「クリスマス向けのマンゴーを作りたいが、南国だと難しい。北海道ならできる」と言われて始めた。最初は言葉の意味が理解できなかったが、交流を続ける中で、冬の出荷に合わせるにはハウスを冷やす空調費が課題だと分かった。
貯蔵した雪を活用して温度を下げ、電気代を節約。寒い時期も太陽光や温泉の熱で適温を保っている。
2023年は12月中旬までに約8千玉を出荷。大きさによって5千~3万5千円の値が付いたという。
道内では他にも、鹿追町の生産者がバイオガス発電の余剰熱を使って冬季に収穫。稚内市の稚内衛生公社は、下水道の汚泥をペレット燃料に加工する際の廃熱を活用している。
「昨年は国内のリピーターだけでなく、道内で栽培が盛んと聞きつけたドバイのホテルからも注文があった」と中川さん。「今後は海外でも普及を目指し、北国を盛り上げていきたい」と話す。