最近つくづく思うのは、日本の子供たちが本当にかわいそうだということ。小中高と一生懸命勉強し、いわゆるいい大学に入り、そこを卒業して社会人となっても、給料は安く、将来の展望は開けない。
日本の教育は、いまや世界と時代から大きく遅れ、子供たちから未来を奪っている。
しかし、多くの日本人が、いまだにこのことに気づいていない。日本の教育レベルは世界でも高いほうだと思っている。本当に、これは救い難い誤解だ。この誤解を解き、子供たちに、いまの時代にふさわしい教育をしないかぎり、日本の復活はないと思う。
大学ランキングで上位に入れない低レベル
日本の賃金が安いことには諸説があるが、最大の理由は、日本人が低学歴、低人材になったからだ。このことを言うと、「まさか」と言われ、さらに、「そんなはずはない」という反論が必ず帰ってくる。「なぜ日本をそこまでディスるのか」と、怒り出す人間もいる。
しかし、これは残念ながら本当だ。
初等教育、中等教育にも問題があるが、最悪なのは高等教育、つまり大学だ。日本の教育は大学に入るまでは競争もあって、なんとか先進国水準を保っている。
それは、「PISA」(Programme for International Student Assessment、2023:OECDが行う世界学力調査)で、世界第5位(科学的リテラシー2位、数学的リテラシー5位、読解力3位)というランキングを見えればわかる。
しかし、大学になるとランキングは急降下する。
たとえば、「THE世界大学ランキング」(Times Higher Education World university Rankings、2024)では、日本トップの東大は世界29位、京大は55位で、中国、香港、シンガポールの大学より順位は低い。私立の雄とされる早稲田、慶應にいたっては500位以内にも入っていない。
こんな低レベルの大学を卒業した学生を、毎年、企業が一括採用しているのだから、初任給はもとより、給料が上がるわけがない。
日本は「学歴社会」ではなく「低学歴社会」
私も大昔、大学生だったが、バイトと遊びに明け暮れ、ほとんど勉強しなかった。当時、大学は「レジャーランド」と言われた。それでも、単位はもらえて卒業でき、なんとか就職できた。この状況は50年を経たいまも、ほとんど変わっていないだろう。
つまり、日本人は、高校生までは勉強するので、学力(といってもテストにいい点を取れる力)は世界でもトップクラスになるが、大学に入ってからは勉強しないので、世界でも最低クラスの人材になってしまうのだ。
この世界レベルから見て最低クラスで、即戦力にならない学生たちを大量に雇ってきたのが日本企業である。これでは、日本経済が成長するわけがない。
現代のデジタルエコノミーに必要なのは、大学、大学院できちんと学んだ「高度人材」である。大学、大学院は高等教育と言う以上、専門性があるスキルのある人材を育てる機関だ。ところが、日本の大学、大学院は一部を除いて、この役割を果たしていない。
しかも、企業は、学位に価値を求めず、それに対する相応な対価(報酬、給料)を払わない。つまり、日本は「学歴社会」ではなく「低学歴社会」なのである。
この続きは3月28日(木)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。
※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。