虐待通報後の県と市、対応不十分

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共同通信
奈良県の山下真知事(手前)らに報告書の内容について説明する西田尚造弁護士=28日午後、奈良市

 奈良県橿原市で昨年6月、当時4歳の田川星華ちゃんが母親の交際相手の山下翔也被告(27)=傷害致死罪で起訴=から暴行を受けて死亡した事件を巡り、県や市の対応を調査する検証チームが28日、報告書を公表した。県と市は虐待疑いの通報を受けた後、速やかに星華ちゃんの様子を確認しなかったなど対応が不十分だったと指摘。専門職員の増員といった再発防止策を提言した。

 報告書によると、昨年5月、県の児童相談所に医療機関から「女児の左目が充血しており、母のパートナーに突かれたと話している」と通報があった。市担当者は母子と面会したが「交際相手が髪を乾かすときに手が当たった」とする母親の説明のみ聞き取り、母親がいない状況で星華ちゃんから話を聴かなかった。

 また、児相の対応マニュアルが国の基準と異なる上、虐待通告から原則48時間以内に安全確認をする「48時間ルール」も守られていなかった。

 チームの座長を務めた西田尚造弁護士は「経験が少ない職員らが手探りで対応していた」と問題点を指摘し、体制強化を求めた。