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共同通信
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徳島県三好市の国指定重要有形民俗文化財「祖谷のかずら橋」が、2月に3年に1度の架け替え工事を終えた。県内屈指の観光スポットだが、新型コロナウイルス禍で来訪者数がほぼ半減。2022年度は約26万人にとどまり、コロナ禍前の約36万人には届かない。地元関係者は架け替えを機に回復に期待を寄せる。(共同通信=別宮裕智)
かずら橋は約6トンのシラクチカズラで編まれた全長約45メートル、幅約2メートルのつり橋。祖谷川の水面から約14メートルの高さにある。800年以上前、源氏から逃げてきた平家の落人が切り落としやすいように考案したとの伝承も残る。今年1月から、地元の人たちが古いカズラを切り落とし、新しいものに付け替える作業をしていた。
三好市の喜多豊さん(88)は孫らと3世代そろって2月下旬、完成した橋の渡り初め役を務めた。つえをつき、妻と手を取り合いながら、揺れる橋をゆっくりと進んだ。喜多さんは「かずら橋は地元の宝物。コロナ禍で一時は下火になったが、またにぎわってほしい」と笑顔を見せた。
かずら橋のことを改めて知ってもらおうと、今年は工事期間中に初めて作業見学会を開催。4日間で129人が参加し、要望があった団体客の見学も含めると参加者は計約300人に上った。
かずら橋がある祖谷渓(三好市)は17年に米大手旅行雑誌「トラベル+レジャー」の「18年に訪れるべき50の旅行地」に選出され、海外でも一定の知名度がある。高井美穂市長は「近年、日本の古き良き原風景が世界から再評価されている。世界から選ばれ、求められる観光地を追求していく」と話した。