フィリピンからのサービスにチップ
リモートでもチップ請求
ニューヨーク市内に、対面式の従業員ではなくフィリピンとZoomで繋いだ店員が会計時にチップを求める飲食店が出現した。フライドチキンやラーメンの専門店「サンサン・ラーメン」、「サンサン・チキン」などで、フィリピンの格安な人件費を生かした「アイデア商法」で、最高18%のチップを上乗せするよう促される。
ニューヨーク市の最低賃金が時給16ドルなのに対し、フィリピンの時給は3.75ドル前後。会計を済ませた客は、スクリーン越しにチップの支払いを求められる仕組みだ。ロング・アイランド・シティにあるサンサン・チキンで、フィリピンから「リモート勤務」をしている女性は、時給は明かさなかったものの、その場に実在していないにもかかわらず、斬新さを楽しむ客は気前よくチップを置いていくという。
あるテックの専門家は「米国人が最も好まない、チップとアウトソーシングという二つものを組み合わせているにもかかわらず、接客サービスの未来かもしれない」と指摘する。これに対し、人とのリアル交流がないことで貴重なものが失われると考える人もいる。ある男性は「よく通うような常連店は、自宅のように感じたい。人間同士の交流は、ビデオよりもずっといいものだ」と話している。(9日、ニューヨークポスト)