能登、揺れ耐えた焼酎で再建へ

Published by
共同通信
地震で倒壊した発酵用タンクの前でたたずむ焼酎専門蒸留所「日本醗酵化成」の藤野浩史社長=2月、石川県珠洲市

 能登半島地震で被災した石川県唯一の焼酎専門蒸留所「日本醗酵化成」(同県珠洲市)が、クラウドファンディング(CF)で再建費用を募っている。震災前に瓶詰めを終え、揺れに耐えた焼酎などが返礼品だ。震災から4カ月以上たつが街の景色は変わらず、自社の生産作業も止まったまま。「返礼作業があることが心の支え」と取締役の藤野裕子さん(45)は話す。

 同社は1947年に藤野さんの祖父が創業した。昨年5月に珠洲市で震度6強を観測した地震で蒸留設備が壊れ、新たに醸造できずにいた。プロ野球の阪神タイガースが昨秋優勝した際には麦焼酎「虎の涙」が話題となり、再建に向かおうとしていたさなか、元日の地震に襲われた。

 工場の床はひび割れ、古いものでは40年にわたり焼酎を熟成している1万リットルタンク100本以上のうち約8割が傾いた。設備もさらに壊れ、瓶詰めができなくなった。

 目標額は800万円。藤野さんは「険しい道筋だが、応援してくれる人の声を進む力に変えて頑張りたい」。CFは通販サイト「COREZO(コレゾ)」で31日まで。