サンスクリーン、A紫外線をブロックせず がん発生につながる皮膚老化の主要因
ドラッグストアでは、バーベキュー用品と並んで特設コーナーが登場している Photo Keiko Tsuyama
日本、韓国、欧州で販売されているサンスクリーンは、 皮膚老化の主要因となる A紫外線をブロックするのに効果がある成 分が含まれている。米国では米食品医薬品局( FDA) がこの成分を許可しておらず、問題視されている。
これは 1938年に成立した法律で、 サンスクリーンを医薬品として分類し、 動物実験を義務付けているからだ。ドイツの BASFやフランスの ロレアルは 20年前に実験済みとして米国内で販売できないのは不 公平だと主張。 米国議会にこの義務付けを廃止するよう働きかけた。その結果、 F DAに新しいサンスクリーンの許可を促進させる超党派の法案が提 案されている。
紫外線は皮膚に光老化を起こし、 がんの発生要因として知られている。 皮膚がんは米国人が最もかかりやすいがん。米国人の 5人に 1人が かかるとされ、毎年 610万人が治療を受けている。 皮膚がんはサンスクリーンによって予防できるのにである。
サンスクリーンに関しては、議論もある。市販製品は「化学的」 として、酸化亜鉛をつかった「物理的」「ミネラル効果の」 製品を使うべきだとの意見がある。 FDAもサンスクリーンの成分 の一部が血液中に発見されたとする研究を発表。 19年には成分を 再検討する必要があるとして、火に油を注いだ。
テキサス州オースティン市在住の皮膚科医、エイド・ アダムソン氏は、「 A紫外線から肌を守る効果がある成分が含まれ ていないということを問題視すべきだ」と指摘する。 A紫外線は皮 膚層の深くまで浸透。皮膚老化の 90%の原因だ。 B紫外線は肌の 表面に作用し、日焼けの原因となる。サンスクリーンに見られる S PF(Sun Protection Factor)は B紫外線をどれだけブロックするかの表示にとど まる。
A紫外線をブロックする成分、ビモトリジノールは日本の「 ビオレ」や韓国の「 Beauty of Joseon」の製品に含まれている。オランダの DSM-フィル メニッヒ傘下の「 D’Ruiz’z」 はこの成分入りのサンスクリーンの許可をFDAに申請している唯 一のメーカー。 25年末までに許可が下りると予想している。
FDAの対応は遅い。その間、 消費者はアジアや欧州からの輸入品に頼らざるを得ない。 そこには偽物という、また違った問題が待ち受けている。( 4日、 NBC ニュース )
フランスのラ・ロッシュ・ポゼの日焼け止めには、米国では未承認の成分が含まれている(Photo: Amazon)