憲法改正論議は無意味!SF平和条約がある限り 日本は100年経っても独立できない!(完)

右派も左派も心情は同じ「独立したい」

 このように見てくれば、いまの憲法論議がいかに虚しいか、非現実的かがわかると思う。自民党中心の保守勢力は改憲して日本を「誇れる独立国家」にすることを切望している。故・安倍晋三首相はそう言い続けてきた。
 しかし、憲法改正による自主憲法の制定だけでは、それは達成できない。
 また、頑なに護憲を唱え、「平和憲法を守ろう」などと言っている左派は、思考回路が完全にお花畑だ。彼らは、常に米軍駐留に反対してきた。とくに共産党は、沖縄を中心に米軍基地反対運動を展開しながら、アメリカがつくった憲法を守れと言い続けてきた。
 この行動と主張の矛盾は、私の理解の範囲を超えている。
 ただ一つ理解できるのは、右派も左派も「アメリカから独立したい」としていることで、その心情は同じではないかということだ。

世界に真の独立国家はどれくらいあるのか?

 世界のほぼどんな国も完全な「独立国家」などとは言えない。真の独立国家とは、すべてのことを自分の意思で決められる国のことだ。どこの国からも侵されない「主権」(sovereignty:ソブランティ)を確立している国のことだが、そんな国がどこにあるだろうか?
 現在世界は、覇権国とその庇護による集団安全保障体制で成り立っている。「NATO」は、その代表例だ。覇権国とは、もちろんアメリカである。このアメリカ覇権の外にいるのが、中国、ロシアと、イランなどの反米諸国だ。
 覇権国の干渉を受けるか、あるいはその庇護の下にある国を「属国」(tributary state)と呼ぶが、日本はアメリカの完全な属国である。しかし、世界の多くの国がアメリカの属国である。英国だろうとドイツだろうと、アメリカの力なくしては、自国の平和と安全を保てないのだから、一刻も早く虚しい論争をやめるべきだ。
 そうして、いかにしたら日本の安全保障を確立できるのか、現実的な議論を行い、改憲なり日米安保の改定なりを行うべきだろう。そうしてさらに、SF平和条約の軛(くびき)から逃れる道を探るべきだ。SF平和条約の施行から72年たっても、いまだに「敗戦国」であるというのは、経済衰退しているだけに本当にきつい。
(了)

【読者のみなさまへ】本コラムに対する問い合わせ、ご意見、ご要望は、
私のメールアドレスまでお寄せください→ junpay0801@gmail.com

 

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

→ニューヨークの最新ニュース一覧はこちら←

タグ :  ,