先達の思いをつなぎ、次世代にチャンスを
ニューヨーク日系人会奨学金授与
ニューヨーク日系人会(JAA)は5月31日、ハーバードクラブにて、第54回年次奨学金授与晩餐会を行い、佐藤貢司日系人会会長、河村諭奨学金コミッティ共同議長(ノムラ・ホールディング・アメリカInc. CEO兼社長)と遠藤彰在ニューヨーク総領事館首席領事の挨拶で幕を開けた。
奨学金受賞者向け基調講演は、“ビリギャル”の小林さやかさんで、ビリギャルとしての経験と、今年5月にコロンビア教育大学院(認知科学専攻)卒業の経験をもとに語った。「日本では、先生や親が、子供に完璧さを求めるあまり、子供たちの“何ができるかではなく、何ができないか”に注目しがちであり、子供たちの自信醸成を妨げている傾向にあることが非常にもったいないと感じている。ニューヨークでは、逆に個々人が自信過剰の傾向がないでもないが、私自身にとっても、自分自身を存分に表現でき、非常に気楽に住めたのが、とてもよかったと思う。このような環境で活躍されている皆さんは、ぜひとも日本にいる子供たちのロールモデルとして歩んでほしい。そのためにも、今後はより一層、自分の“快適なゾーン”を飛び出して、自分を成長してくれるような人と積極的に出会うことが重要」とのアドバイスを送った。
村瀬ファミリー賞($12,000+ANA日本往復チケット)を受賞したリー・レイアさん(ニュージャージー州Bergen County Academies卒業、ブラウン大学進学)は、「受賞は、私の高校生活を通じて最も報いられた経験の一つ。学校にはあまり日系アメリカ人の学生もいないので、今日の夕食会で、多くの日系アメリカ人の仲間に会えてうれしかった。これまで、ニューヨークの日系コミュニティがこれほど大きなものとは知らなかったが、今回の受賞への恩返しも含めて、今後は、より日系コミュニティーに関わっていきたいと思う。また、賞は、学費の助けになるだけでなく、他の優秀な日系アメリカ人の学生や社会で活躍されている方々に会えるので、ぜひとも高校のシニア学生には、この賞への応募勧めたいと思う」と述べた。
来年同時期には、第55回年次奨学金授与晩餐会が行われる予定。今年の受賞者および応募詳細に関しては、JAAホームページを参照。 晩餐会後、小林さんは、「英語でのスピーチは初めてだったので緊張しましたが、みなさんが温かく、笑いながら、うなずきながら、聞いてくださったので、安心して楽しんでお話することが出来ました。私自身も最近米国の大学院を卒業したばかりなので、学生のみなさんの緊張やらワクワクやら、色んな感情が伝わってくるような気がしました。日本と米国に想いを寄せ、NYで活躍されている大人が、このように集まって次の世代を応援するというこの奨学金制度は、本当に優しさと愛に溢れていて、なんだか私まで頑張ろうという気持ちにさせていただきました。私も、微力ながら少しでも次の世代に貢献できるような活動を今後もっとできるよう、頑張ります!」と語った。
岡田雅彦ニューヨーク日本人学校校長は、「メモリアルデーの墓参会では、JAAが、ここニューヨークで日本人らしく生活していける礎を作った先達が眠る日本人墓地を守り続け、その功績を後の世代に伝えるために、117年という長い期間、墓参会を継続されてきたことを、大変すばらしいと感じた。今夜は、今ニューヨークで生活し、これからの社会を作り上げる若者に奨学金という形で支援することが、これからの日系人の活躍につながることを強く感じた。こちらも54回目ということで、墓参会同様に、長期間継続して支援されており、すばらしい取組だと思う。ここにいる若者の活躍が、社会を変革し、創造し、結果的に多くの人を幸福にすることに繋がっていく。若者をみんなで応援していく環境を作り上げているJAA、そしてその支援をしていただいている多くの日系企業の皆様がとてもすばらしいと感じた」と述べた。