5日付のABCニューヨークによると、ニューヨーク市警察(NYPD)は同日、ブルックリン区のユダヤ人墓地で多数の墓碑が倒壊していたのはいたずらやヘイトクライム(憎悪犯罪)ではないと結論付けた。
ユダヤ人の墓所として知られる同区ミッドウッドにあるワシントン墓地で4日夜、40以上の墓碑が倒れているのが発見された。ヘイトクライムの可能性があるとして、NYPDのヘイトクライム対策本部が捜査に当たったが、翌日、原因は長年管理がおろそかになっていた上に墓碑の立っている地面の侵食あるいは強風といった自然条件が重なって起きたものであると発表した。墓地の管理会社も捜査に協力し、NYPDの出した結論に同意しているという。
一方、昨今のユダヤ人を敵視するヘイトクライムなどの事件が全米で多発しているため、事件性を完全に否定できないとの声は少なくない。ニューヨーク州議会のドブ・ハイカインド下院議員も、「強風が原因だとして、倒れる墓碑と倒れない墓碑に差があるのはなぜか」と指摘する。実際に、ミズーリ州セントルイス市やペンシルベニア州フィラデルフィア市では、ユダヤ人の墓地が故意に荒らされるという被害が報告されている。