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共同通信
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地方住宅供給公社が借り主の合意を得ずに家賃を増額できるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は24日、公社物件に借地借家法が適用されるとの初判断を示した。借り主側が家賃の減額を請求できるほか、値上げに対して争えるようになる。同法の適用を否定した二審東京高裁判決を破棄し、審理を高裁に差し戻した。
借地借家法は、住宅市場の変動などに応じて、貸主と借り主の双方が家賃の適正価格を請求できると規定。協議で合意できない場合は調停や裁判で争えるが、公社法施行規則は「近隣の同種住宅の家賃を上回らないよう定める」としており、被告の神奈川県住宅供給公社(横浜市)は訴訟で、借り主の同意なく家賃を変更できると主張していた。
第1小法廷は、施行規則は補完的な基準を示したもので、借地借家法の適用を排除する規定ではないと判断した。
借り主側代理人の石畑晶彦弁護士は東京都内で記者会見し「公社の運用に最高裁が疑問を投げかけたに等しい」と評価した。