「愛子天皇」は「待望論」だけで終わるのか? 日本復活のためには女性天皇が必要!(下)

男系男子は側室がなければ維持できない

 「女性・女系天皇」をめぐっては、これまで歴史的な観点、伝統を守る観点から、さまざまに議論されてきた。とくに、女系天皇に対しては根強い反対論がある。ただし、男系男子にこだわって万世一系を続けることは、ばかばかしいというか、虚しいことだ。
 というのは、そんな考え方は、現代のジェンダー平等社会では通用しないうえ、天皇家に無理難題を強いることになるからだ。なにしろ、皇后になったら男子を産まないかぎり、いまの天皇家は維持できない。
 しかも、男系男子というのは、明治になって「皇室典範」に書かれたことであり、それまでは伝統的に守られてきたにすぎない。それが、続けられたのは、天皇が側室を設けることができたからだ。
 側室なしの男系継承には無理がある。これは無視できない事実である。昭和天皇からは側室をやめ、天皇家も「一夫一婦制」となった。これは、昭和天皇の意思でもあったという。
 ならば、いまさら、それを守ってどうしろというのだろうか?

愛子天皇誕生で日本に明るさと希望が戻る

 万世一系とは、天皇につながる男系の血が途切れなく続いてきたということで、血がつながっていれば、傍系の譲位でも構わなかった。
  たとえば、25代武烈天皇には、子ども兄弟も従兄弟もいなかった。そのため、応神天皇5世の来孫を越前から連れて来て、武烈天皇の姉にあたる手白香皇女(仁賢天皇皇女・雄略天皇外孫)と結婚させて継体天皇として即位させている。先帝とは4親等以上離れていた。
 また、45代聖武天皇には男子がなく、娘が称徳天皇として即位したが、その後は血筋を五代さかのぼって、38代天智天皇の孫を光仁天皇として即位させた。当時の女帝は、生涯独身を通さなければならなかった。そうしないと、子どもが皇位を継いだ場合、王朝交代が起こるからだ。
 保守派と自民党の改正案は、このようなことを現代でも行わせようとするものだ。継承者がいなければ、血筋をさかのぼって皇女と結婚させて継承者とするなどは、時代錯誤であり、現実と天皇家の意思を無視している。
 5代までさかのぼるということは、1代30年として年数にして少なくとも150年はある。そうしないと天皇に行き着かないということになる。もしも将来、天皇に即位した悠仁・親王に子どもができなければ、どうなるか?
  考えてみるだけで、そのときは大混乱に陥ると想像がつく。
(つづく)

この続きは7月1日(月)発行の本紙(メルマガ・アプリ・ウェブサイト)に掲載します。 

※本コラムは山田順の同名メールマガジンから本人の了承を得て転載しています。

 

山田順
ジャーナリスト・作家
1952年、神奈川県横浜市生まれ。
立教大学文学部卒業後、1976年光文社入社。「女性自身」編集部、「カッパブックス」編集部を経て、2002年「光文社ペーパーバックス」を創刊し編集長を務める。2010年からフリーランス。現在、作家、ジャーナリストとして取材・執筆活動をしながら、紙書籍と電子書籍の双方をプロデュース中。主な著書に「TBSザ・検証」(1996)、「出版大崩壊」(2011)、「資産フライト」(2011)、「中国の夢は100年たっても実現しない」(2014)、「円安亡国」(2015)など。近著に「米中冷戦 中国必敗の結末」(2019)。

→ニューヨークの最新ニュース一覧はこちら←

タグ :  ,