アーティスティック・スイミング米国代表 フィールド恵美さん
補習校からパリ五輪へ 母親と二人三脚
“きちんと続ける習慣”が大切
7月26日から開催されるパリ五輪に、フィラデルフィア日本語補習授業校に通っていたフィールド恵美さんの出場が決定した。恵美さんは、アーティスティック・スイミング(“シンクロ”から2017年に名称変更)の米国代表として、国別団体戦(8月5~7日)とデュエット(9~10日)の2種目に出場する。今回の五輪出場への思いと、補習校での思い出を、恵美さんと母親の直美さんに聞いた。
フィールド恵美
デラウェア州ウィルミントン市出身。幼稚園から小学5年生までを、フィラデルフィア日本語補習授業校で過ごす。東京で育った母、直美さんの影響で、5歳でアーティスティック・スイミングを始める。10歳には、ナショナルチーム(12歳以下)に選ばれるとともに、同競技に専念するため、母と二人で、ロサンジェルスに。同競技で著名なクラブ(La Mirada Aquabelles)で練習に励むとともに、今年オンラインのLaurel Springs High Schoolを卒業。2020年からはナショナルチームにフルタイムとして参加。24年2月に行われたドーハ(カタール)でのWorld Aquatics Championshipsにおいて、米国にとって、08年以来の国別団体戦参加資格獲得に貢献、パリ五輪代表選手に選ばれた。
――五輪出場おめでとうございます。今の率直なお気持ちは?
小さいころから五輪出場を目指してきたので、とてもうれしいです。ただ、まだ実感が持てていないというのが正直なところで、もしかすると実感は五輪が終わってからかなとも思っています。一方で、出場が決まって、取材を多くいただくようになったというのは、変化かもしれません。(補習校時代に住んでいた)東海岸の友達からも、連絡を多くもらったのは、うれしかったです。国別団体戦への出場は08年以来なので、チームとしてもとても盛り上がっていて、とても楽しみにしています。
――水泳は産まれてすぐ、アーティスティック・スイミングは5歳から始めたそうですね。
アーティスティック・スイミングのために、ジムやダンスも習うなど、非常に忙しい生活を送る中、フィラデルフィア補習校には、幼稚園から小学5年生まで通いました。
――補習校での楽しかった思い出を聞かせていただけますか?
運動会やバザーなどのイベントがとても楽しかったです。特にバザーは、私にとっては、いろいろな日本食を食べられる機会だったので、焼きそば、カップラーメン、おにぎりなど、いろんなものをたくさん食べました。
――補習校での時間は、現在の恵美さんにとって、どのように役にたっていますか?
やはり、日本語を話せるようになったのがよかったです。23年に行われた福岡での世界水泳では、チームのみんなのために、私が通訳をしてあげました。まだ、ジュニア時代に会った日本のアーティスティック・スイミング・チームの人たちも、私のことを覚えてくれていて、彼女たちと日本語で話せたのもうれしかったです。補習校時代は、宿題が大変だったのですが、しんどくても土曜日の補習校のすぐあとに宿題をやる習慣をお母さんがつけてくれたのが、中学生になってからも学校の宿題や忙しいスケジュールをこなす上で、とても助かりました。補習校時代からの友達家族も、パリにも応援に来てくれるので、再会を楽しみにしています。
――恵美さんのように将来の夢に向かいつつ、補習校でがんばっている後輩たちに、アドバイスは?
お母さんの言っていることは、正しいので、聞いておきなさい(笑)
――お母さんも、恵美さんの送り迎えを含めて、非常に大変だったと思います。お母さん自身がここまで頑張ってこられた秘訣はなんですか?
初めの目標はシニアナショナルチームに入ること、次の目標が五輪に出場できること、という感じで、恵美が続ける中で常に目標があったので、サポートできたのではないかなと思います。
――アメリカでの生活において、子供の成功のためには、親の協力・努力が非常に大きいと思います。日本人学校・補習校で、現在子育てをしている父母にアドバイスをいただけますか?
高学年になると現地校の宿題も多く、補習校に行くお子さん、アクティビティをしているお子さんは本当に大変だと思います。私は、なるべく子供に宿題を早く終わらせるように言っていました。日本はお子さん1人でも、学校、アクティビティへ行けますが、アメリカは親が全て運転しないといけないので、ご夫婦で協力して、スケジュールをつくっていくのが良いのではないかと思います。
――恵美さんから、補習校にお子さんを通わせている父母に、コメント、アドバイスがあれば、お願いできますか?
やはり、補習校の宿題をしんどくても、早いうちに終わらせる習慣をつけるのが大事だと思います。私の場合、10時過ぎに練習から帰ってきて疲れているのに、お母さんが『宿題は?』としっかりと言ってくれていたのが、今の“きちんと続ける習慣”に繋がっているのだと思います。そういう意味では、多少お子さんと喧嘩してでも、しっかりと宿題をやる習慣をつけてあげてください。