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共同通信
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市内で一番古いエアコン、無償交換します―。夏本番を前に、福井県勝山市が、市内の家庭で現役使用されている最も製造年が古いエアコンを探し出すキャンペーンを6月まで実施した。
古いと環境性能で劣り、消費電力も多い。市民のエコ意識喚起を狙った取り組みで、最古と認定されたのは1977年製。最新型と無償で交換され、所有者の男性は「孫もちゃんと迎えられる」と喜んだ。
市は4月26日~6月14日、サイト上でキャンペーンを呼びかけ、市民140人が応募。ちゃんと稼働するか、冷風が出るかを市担当者が確認した上で、このほど最古と認めたのは竹内政文さん(66)方の和室に設置されたダイキンの「タスタス」だった。
市やダイキンによると、室外機を買い足さずに室内機を増設できることが売りの、当時のアイデア商品。外装は木目調で、操作するリモコンは有線でつながっている。最新型への交換で消費電力が約4割削減できる見込みだ。
竹内さんがタスタスを購入したのは結婚を控えた20歳前後で、一般家庭ではまだエアコンは珍しかったという。今は電源を入れる機会が減ったが、これまで修理に出すこともなく、長男が東京から帰省した際などに使用してきた。
竹内さんは「年を取って、きっかけがないと新しいエアコンに替えることもない。これで去年生まれた孫も涼しく過ごせる」と顔をほころばせた。
勝山市は2050年までの脱炭素実現を目指し「ゼロカーボンシティ」を宣言している。営繕課の斎藤恵一さん(50)は「今回の取り組みで身近なエアコンに目を向けてもらい、買い替えを考える機会になればうれしい」と話している。