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共同通信
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能登半島地震で損壊した倉庫から救い出した輪島塗を再生した作品や、能登の海辺で拾った石からかたどった漆器が、東京・銀座の和光本店の地下に並んでいる。石川県輪島市の漆芸家桐本滉平さん(31)の新作展が始まった。「手を動かすことが、一番生きる実感を得られる」。元日の大火で自宅兼工房を失ってから、展示会に向け作品を仕上げる作業は大切な時間となった。
昨年秋からこつこつと制作してきた漆器は「朝市通り」にあった自宅とともに全て焼失した。現在の作業場はコンテナハウス。被災後の手続きや朝市通りの復興に関する打ち合わせに追われ、制作に集中できるのは夕方以降となりがちだ。
損壊した倉庫や工房から未完成の輪島塗約1万点を救い出した。コンテナハウスで最終的に仕上げたおわんを数点出展。「生活にしっかりとなじむものを選んだ」と説明する。
縁がわずかにうねり、手のぬくもりが感じられる器たちは、タンカンなどの果物や海辺の石からかたどったもの。漆とコメを混ぜた原料を麻布に染みこませ、何重も貼り付けていく。
展示会は28日まで。