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共同通信
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北海道東部で2019年以降に放牧中の牛66頭を襲撃したヒグマOSO(オソ)18の「特別対策班」リーダーを務めた藤本靖さん(62)が7月、当時の追跡を振り返った「OSO18を追え “怪物ヒグマ”との闘い560日」(文芸春秋)を出版した。「オソは『猟奇的な怪物』ではない。普通のクマが、人間の行いで学習したという実態を伝えたかった」と語る。
藤本さんは06年、標津町でNPO法人「南知床・ヒグマ情報センター」を立ち上げた。特別対策班は道からの依頼で21年末に結成され、本では翌22年2月の残雪期に行われた初めてのオソ捜索や、8頭が襲撃された同年夏に種々の捕獲作戦を試みるも、オソが巧みに逃げ続けた攻防などが詳細に記述される。
追跡の中で、当初体重400キロ前後の巨大なヒグマと推定されたオソが、実は300キロ前後と、よくあるサイズだと判明。本来雑食のヒグマが肉食に偏ってしまったきっかけは、ハンターが不法投棄したエゾシカの死骸を食べたことだとも藤本さんたちは気付く。
NPOは今年も、8月上旬時点ですでに7頭のヒグマを駆除したという。