子どもの親権に関し、①法的養育権、②監護権の2つの要素が関与してきます。法的養育権とは、子どもの養育に関する情報を管理でき、主要な決定を子どものために行なうことができる法的な権利です。
監護権とは、子どもと一緒に暮らす権利を持つことです。
法的養育権者を決定する際には、2つの基本的な選択肢があります。1つは、両親が法的養育権を共有することです。監護権を持っていない親でも、法的養育権を持つことができます。法的親権を共有する場合、両親はお互いに連絡を取り合わなければなりません。両親は、子どもに関するさまざまな問題について向き合い、子どもにとって一番良い状況になるように決断を下していきます。子どもの生活状況についても、お互いに情報を共有しなければなりません。
主要な決定とはどういったものを指すでしょうか。主な決定事項としては、一般的に宗教、教育、肉体的および精神的な健康面に関連するものです。大きく子どもの生活に影響を与える事柄になります。例えば、子どもの学校の変更などがそれに当たります。もしも、親同士が同意できない場合はどうでしょう。そのような場合、裁判所は「充分な協議が行われたにも関わらず、当事者が同意できない場合には、主要身上監護権を持つ親の方が最終的な発言権を有する」としています。親は、裁判所の介入を避けるため、同様の問題が起こった場合の解決策として、心理学や社会福祉などの専門家や、仲裁人などを交えた合意書、裁判所命令書などにて、あらかじめ同意しておくことも可能です。
対照的に、片親しか法的養育権を持たない場合は、もう一方の親と子どものための決定権を共有する必要がありません。裁判所は、法的養育権を持たない親と子どもに関する情報を共有することは促していますが、法的養育権を持たない親は、主要な決定を子どものために行なうことはできません。
監護権は、より多くの時間を子どもと過ごすための責任を課されます。しかし法的養育権は、片方の親が子どもと一緒に過ごす時間の長さが、もう一方の親よりも短かったとしても、権利を持つことが考慮されます。
両親が同じ時間を子どもと共用したいため、両親が同等に監護権を持つこともあります。また、同等に法的養育権を共有することもあります。
Steven W. Epstein スティーブン・エプステイン弁護士
ブランディーズ大学、ニューヨーク・ロースクール卒。18歳から法律事務所で働き始め、2003年まで弁護士組合員として幅広い分野の訴訟を担当。04年に独立し、「Steven W. Epstein & Assosiates法律事務所」を設立した。取扱い業務は、民事訴訟、会社法(設立、契約)、家庭法(離婚)、刑事訴訟など、多岐に渡る。また、NY市行政裁判所にて非常勤審判官も務めている。
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