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共同通信
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暴行罪の無罪が確定した名古屋市の男性が、警察が保管するDNA型、指紋、顔写真のデータ抹消を国に求めた訴訟の控訴審判決で、名古屋高裁は30日、一審名古屋地裁に続き、抹消を命じた。「無罪確定後も男性の意に反して捜査機関にDNA型などが保管されていることは憲法14条が定める『法の下の平等』に反する」と言及した。
判決は、警察庁が法律より下位の規則に基づいてDNA型などを管理・運用する現状に触れ「国民的議論を経た上で憲法の趣旨に沿った立法的な制度設計が望まれる」とも指摘した。
今回の裁判の原告は奥田恭正さん(67)。判決理由で長谷川恭弘裁判長は「犯罪自体を認めない判決が確定しており、DNA型などをデータベースに残す必要がないのは明らかだ」と述べた。
弁護団によると、一審に続き二審でもデータ抹消を命じた判決は初めてとみられる。代理人弁護士は「法整備の必要性に踏み込んでおり価値のある判決だ」と評価した。
警察庁は「判決内容を精査し、関係機関とも協議しながら対応を検討したい」としている。