手を洗えない、名前を読めない子も
新学期の新小1は準備不足
米国で新学期が始まる9月。教員の約80%が小学校の新1年生は就学準備が不足しているとする調査結果が発表された。ニューヨークポストが3日、報じた。
「数年前と比べ、小学校の新入生は準備ができていると思うか」との問いに、教員の78%が「準備不足」と回答。「より準備ができている」は4%、「数年前とほぼ同じ」は18%だった。多くの教員は4、5歳児が「手を洗えない」「1人でトイレに行けない」「数字やアルファベットを認識できない」「簡単な単語を読めない」と答えている。「自分の名前を読めない」子どももいるとしている。
教育関連の非営利団体「Theirworld」のジャスティン・バン・フリート会長は「子どもの脳の80%は5歳までに発達する」と主張。「幼児教育に注力しなければ、深刻な不利益を被り、その影響は数世代に及ぶ。貧富差は解消されず、有能な人材不足に陥る」と警鐘を鳴らしている。
また、米国の結果は、同様の調査を行なった英国、オランダ、ブラジル、インド、南アフリカ共和国よりも悪かった。
約70%の米国の教員はプレK教育を受けていないことを原因に挙げている。ニューヨーク市内は10年ほど前から無償化されているが、多くの地域ではまだ実施されていない。さらにコロナ禍で機会が失われ、その悪影響が尾を引いているという指摘もある。
約57%は貧困と保護者による就学準備の欠落を指摘。ニューヨーク州下院教育委員会のマイケル・ベネデット委員長も「80%の教育は家庭でなされる。保護者の役割は大きい」とコメントしている。
ブロンクス区に住む自閉症の5歳男児の保護者、ルース・バラダレスさん(43)は「息子は自分の名前も書けるし、手も洗えるし、トイレにも1人で行ける。コロナを言い訳に使うべきではない」と話している。ネイルサロンで働くバラダレスさんは、息子のタイデン君をプレKと幼稚園に通わせ、家でも名前の書き方を教えたという。
同調査には全世界の教員2600人以上が参加。米国では506人から回答を得た。
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