NYで未成年の凶悪犯罪急増 「司法の回転ドア」が元凶か

 

NYで未成年の凶悪犯罪急増

「司法の回転ドア」が元凶か

 

住宅街で発生した殺人事件の現場。写真奥に黄色いポリスラインが見える(6月20日ブルックリン)photo: Asami Kato

ニューヨーク市で過去7年、未成年者による殺人、強盗、暴行などの凶悪犯罪が急増している。ニューヨーク市警察(NYPD)のデータによると、発生件数は昨年、4858件。2017年の3543件から37%も増加した。ニューヨークタイムズが20日、伝えた。
 銃やナイフを使い、被害者に重傷を負わせる重暴行は28%増加。強盗は52%増えている。殺人は昨年36件発生。17年は10件だった。今年10月までのデータでも、昨年同期間よりも重暴行や強盗は17%増えている。

NYPDの防犯戦略の責任者、マイケル・リペトリ部長は、その元凶を「司法制度の回転ドア」にあると主張する。ニューヨーク州では17年まで16〜17歳を成人として、通常の刑事裁判所で扱っていた。ところが青少年犯罪が数十年ぶりの低水準にまで減少したことを受け同年、家庭裁判所で扱うように法を改正。ソーシャルワーカーへのアクセスや寛大な措置を可能にした。裁判記録も非公開となり、凶悪性向のある未成年が釈放されていくという。

この他、銃の入手が容易であること、未成年者を支援するプログラムが欠落していること、SNSが対立や抗争を助長していることなどが原因として挙げられている。ただ、未成年による犯罪件数は全体の3.8%で17年とほぼ同じであることから、ことさら強調するのは誤解を招くとの指摘もある。特に多発地域がクイーンズ南部、ブルックリン北部、ブロンクスに限られていることから、こうした地域で、貧困など社会経済的問題を解決すべきだとする意見もある。ロールモデルとなるべき市長や市幹部が襟を正すべきだとの主張も聞こえる。

家庭裁判所の目的は更生。リペトリ氏も「未成年のこれからの人生を狂わせるようなことはしたくない」と言う。ただ、「常習犯については、身柄拘束を容易にすべきだ」と続ける。NYPDのケビン・オコーナー元本部長補も「遠からず、20歳、25歳になることを考えれば、アメだけでは不十分」と話している。

編集部のつぶやき「電線にぶら下がるスニーカー」

スニーカーが電線からぶら下がっている意味を知っていますか?あれはギャングや薬の売人の縄張りのマーカーなんです。ブロックごとに異なるケースもあるので、間違えて抗争になるのを避ける工夫。でも最近はアートにもなっているので、ギャングたちにとってはややこしい?(K.T.)

 

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