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共同通信
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俳優の高倉健さんが2014年11月に亡くなって10日で10年。代表作の一つの映画「幸福の黄色いハンカチ」(1977年)などを手がけた山田洋次監督(93)が共同通信のインタビューに応じ、「本当に純粋に生きている人だった。スタッフもみんな健さんに憧れた」と、今でもファンに慕われる国民的大スターをしのんだ。
2人は共に31年生まれ。60~70年代、任きょう映画で人気を博していた健さんに「幸福の―」出演を打診した。北海道の網走刑務所で刑期を終え、妻と暮らした夕張へ向かう元受刑者の役。「普通の人と違う“いちずさ”を持っている人なんじゃないかと思ったのね」と振り返る。
夕張での撮影時、健さんと一緒に稼働中だった炭鉱に入った。坑内は湿度が高く、全身から汗が噴き出すほどだったが、労働者らは平然と弁当を食べていた。
早々に外へ出て「生き返ったようだ」と口にすると、健さんから「私たちは普段ほとんど死んでいるようなものですね」と返ってきた。命懸けで働く人たちに比べ、だらだらと仕事をしているわが身を省みたという。