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共同通信
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厚生労働省は25日、全ての国民が受け取る基礎年金(国民年金)の給付水準を底上げする案を社会保障審議会の部会に示した。基礎年金の財政状況が厳しい一方、会社員らが入る厚生年金は堅調なため、厚生年金の積立金(剰余金)を基礎年金の財源に振り向ける。2036年度以降の給付水準は現在の見通しより3割程度改善する。
基礎年金だけに入る自営業者らが老後に受け取る年金の水準低下を防ぐ。厚生年金受給者の大半も給付が手厚くなるが、保険料を折半で負担している会社員や企業が反発しそうだ。基礎年金の財源の半分は国庫(税)で賄っており、兆円単位の財源確保も課題となる。
両年金の財源は別々に管理され、それぞれ財政が安定化するまで「マクロ経済スライド」という仕組みで給付水準を抑制。給付水準は「現役世代の手取り収入と比べた年金額の割合」で表され、24年度は61.2%。現行制度のままだとマクロ経済スライドによる抑制が57年度まで続き、以降の水準は50.4%で下げ止まる。厚生年金の積立金を基礎年金に活用すれば、36年度に56.2%となる。