本郷弁護士の遺産計画TIPS
最終回 ポータビリティと2025年の
遺産税免除額が減額される際へのその影響
弁護士 本郷友香
ハワイ州、カリフォルニア州、ワシントンD.C.およびニューヨーク州の弁護士資格を有し、遺産相続分野で活躍する。ニューヨーク、ホノルルに事務所を構える。2022〜2024年、Expertise.comのプロベート分野にて、ホノルルのベスト弁護士に選任。2023年、Elite Lawyersよりハワイの遺産相続の分野でエリート弁護士に選任される。日英両語共に堪能。
ポータビリティとは
ポータビリティとは、最初に死亡した配偶者の未使用の遺産税免除額分を生存配偶者が使えるように、後者に提供することです。
ポータビリティの適用例
夫婦A(夫)とB(妻)を考えてみましょう。 Aは2024年に亡くなり、彼の遺産は 261万ドルと評価されます。これは、彼に未使用の遺産税免除額1,100万ドルがあることになります(2024年の遺産税免除額1,361万ドル – 261万ドル)。Bがポータビリティを選択した場合、2024年には免除総額は 2,461万ドル(1,361万ドル + 1,100万ドル)になります。Bがポータビリティを選択しなかった場合、遺産税免除額は1,361万ドルに至ります。
ポータビリティがきちんと適用されるためにすること
ポータビリティは自動的には行われないため、納税義務がないために遺産税申告書を提出する必要がない場合においても、最初の配偶者の死亡日から9カ月以内に遺産税申告書を提出する必要があることに注意してください。遺産税申告書が提出されない場合、ポータビリティは適用されず、最初に死亡した配偶者の未使用の遺産税免除額を生存配偶者が使用することはできなくなります。
2025年に遺産税免除額が減額される
可能性を考慮した場合のポータビリティの重要性
2025年の遺産税および贈与税の免除額が、現在の半分に減額されるという話があり、その場合、2025年には遺産税の免除額が 500万~600万ドルまで減額される可能性があります。遺産税の免除額が減額された場合、多額の遺産を所有し、遺産税の支払いをできる限り軽減したいと考えている夫婦にとって、ポータビリティは非常に役立つことになります。
まとめ
米国の遺産税免除が大幅に減額される可能性がある場合に備えて、ポータビリティなどの概念について知識を広めておくと役立ちます。
当コラムは情報提供のみを目的としており、法的助言を提供することを意図しておりません。個別の案件については、弁護士・税理士の助言を求めてください。
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