フェロモン香水に群がる若者たち
NYでも人気、効果には疑問の声も
デートアプリに失望した若者たちの間でフェロモン香水が話題になっている。「異性を惹きつける」との触れ込みで、SNSのコンテンツとしても300%増。ソーホーにあるフレグランスとスキンケアのブティック、オズワルド・ニューヨークでは、1日に1回はフェロモン香水についての問い合わせがあるという。しかし、その効果を疑問視する声も上がっている。ウォール・ストリート・ジャーナルが25日、伝えた。
ケンタッキー州在住のアラナ・ゲイデンさんは26歳。デートの相手がトイレに行った隙に、ピュア・インスティンクトのフェロモン香水を腕と首につけてみた。 テーブルに戻ってきた相手はゲイデンさんを近くに引き寄せ、微笑むと「きれいだね」とささやいた。「あんな反応は生まれて初めて」とゲイデンさんは香水の効果に目を丸くする。
インターネットにはこうしたフェロモン香水が氾濫している。女性をその気にさせるキューピッド・フラグランスのコロンもある。男性の汗に含まれるフェロモン3種類を配合し「20年間の研究の成果」だという。
しかし、「はかない望みの香りに過ぎないね」とそっけないのはオックスフォード大学の進化生物学者、トリストラム・ワイアットさん。「人間に効果のあるフェロモンとして科学的に証明された化学物質は存在しない」と続ける。脳は個人差があり、効かない場合があるとの指摘もある。「ロッカールームの汗臭い匂いより、女性には優しくした方が効果がある」と主張するのはケベック大学の解剖学教授、ヨハネ・フラスネリさんだ。
ペンシルべニア州のモネル・ケミカル・センス・センターの研究者、バレンティーナ・パルマさんは、「効果があるとすればプラシボ効果」と説明する。デートは自信が左右する。相手を惹きつけるはずだと思い込めば自信につながり、良い結果が出るというわけだ。それでも信奉者は絶えない。ゲイデンの母親(52)も夫がやけに親切で親密だったとして、自分の母親(71)にも薦めている。「試さなにゃソンよ」