水族館飼育係が見た南極

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共同通信
生体が初めて国内に持ち帰られた「メガネカモグチウオ」(名古屋港水族館提供)

 名古屋市港区の名古屋港水族館で、南極地域観測隊に参加した同館の飼育係が企画した特別展「飼育係、南極に行く」が開かれている。来年4月6日まで。生体が初めて国内に持ち帰られた「メガネカモグチウオ」をはじめ、南極付近に生息する珍しい魚などを展示。活動の様子を収めた動画や写真も公開し、遠く離れた南極の生き物への関心を高めたい考えだ。

 飼育展示第1課の課長補佐松田乾さん(55)は、第65次南極地域観測隊の夏隊員として昨年11月~今年2月に南極・昭和基地に滞在し、魚の生態や海洋環境を調べる研究に関わった。目玉のメガネカモグチウオは松田さんが釣り上げた。「南極と言えばペンギンを思い浮かべる人が多いと思うが、さまざまな生き物がいる。実物と南極の景色の映像を見て、疑似体験してほしい」と話す。

 展示が始まった10月中旬、水族館には南極で氷の穴から顔を出すアザラシの写真や、松田さんの活動をまとめた表が掲示され、家族連れやカップルなどが見入っていた。メガネカモグチウオなどが入る水槽の前には10組以上が行列をつくるにぎわいぶりだった。

 名古屋市熱田区の会社員伊藤拓生さん(28)は「日本でここだけの展示というのが気になって来た。石に隠れてしまった生き物もいたが、南極は自分では行けない場所なので興味深かった」と喜んでいた。

生体が初めて国内に持ち帰られた「メガネカモグチウオ」の展示(中央)などが楽しめる、名古屋港水族館の特別展「飼育係、南極に行く」=10月、名古屋市
名古屋港水族館で開かれている特別展「飼育係、南極に行く」=10月、名古屋市