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共同通信
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【オスロ共同】世界に被爆の実相を伝えてきた日本原水爆被害者団体協議会(被団協)へのノーベル平和賞の授賞式が10日、ノルウェーの首都オスロで開かれる。式を翌日に控えた代表委員の田中熙巳さん(92)が9日午後(日本時間同夜)、現地で記者会見に臨み「核兵器の使用が語られる時代になったのは大変悲しい」と嘆いた。
田中さんは平和賞について「思いがけない受賞だ」と強調。「何十人、何百人という仲間が亡くなった。亡くなった仲間たちの受賞でもある」と述べ、核兵器の惨禍を知る被爆者が減少していく現状に危機感を示した。ウクライナ侵攻を続けるロシアのプーチン大統領について「人間にとって核兵器がどのような兵器か理解していない」と批判。核による抑止力は存在しないとし、核兵器の存在に疑問を呈した。
田中さんは13歳だった1945年8月9日、長崎市の爆心地から3.2キロの自宅で被爆した。被爆者を代表し米ニューヨークの国連本部などで核兵器廃絶を訴えてきた。授賞式の演説では「核なき世界」への願いを発信する。