信念胸に、変化の力を

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共同通信
PV会場でノーベル平和賞の授賞式を見る被爆者ら=10日、オスロ(共同)

 【オスロ共同】最前列で仲間が見守る中、世界に向けて語りかけた。「核兵器は人類と共存させてはならないという信念が根付き、核政策を変えさせる力になるよう願う」。オスロ市庁舎ホールでのノーベル平和賞授賞式。日本原水爆被害者団体協議会(被団協)代表委員の田中熙巳さん(92)の演説に、万雷の拍手が響いた。

 亡き人の写真を手に聞き入る人、和服姿の人、目をつむり穏やかな表情の人、誇らしげに拍手する人。会場の被爆者たちは豊かな表情を見せた。

 演説に先立ち、ノーベル賞委員会のフリードネス委員長から賞状を受け取った箕牧智之さん(82)は、深く一礼。笑顔も見せた。田中重光さん(84)はメダルを受け取った。

 現地を訪れている被爆者12人は、オスロ市内のパブリックビューイング(PV)会場で「ノーモア・ヒロシマ」「ノーモア・ナガサキ」との横断幕を掲げ、見守った。6歳の時に広島で被爆した森川高明さん(85)=広島市=は「感動した。被爆者の努力が報われ、一つの時代をつくった。多くの人が亡くなり、それぞれに悲しい物語がある」と話した。