【13日付ニューヨークポスト】ニューヨーク市で今月から刑事司法改革条例が施行されたことを受け今夏、軽犯罪の増加が予想されている。同条例により、立小便、公共の場での飲酒、騒音などの軽犯罪で召喚状を発行された者は、施行前のように刑事裁判所に出向く必要がなくなり、最寄りの行政裁判所で審問を受けることになる。
ニューヨーク市警察(NYPD)は1990年代、軽犯罪を徹底的に取り締まることで凶悪犯罪を抑止できるとする「割れ窓理論」を採用したが、同条例はこの理論を覆すことになる。同条例の支持者らは施行により刑事司法制度が扱う事件が年間10万件削減でき、個人の履歴に犯罪記録が残らなくなると歓迎している。一方、刑事裁判所に出廷する必要がなくなることで、法律違反を増長させるだけだと批判する声も上がっている。また、「犯罪発生率を再び上昇させる」と懸念する警察関係者もいる。
保護観察期間および執行猶予中の者や逮捕歴が2回以上ある者が同条例の対象となる軽犯罪を犯した場合は、刑事裁判所への出廷が命じられる。また同条例の対象となる軽犯罪を4回以上犯した者も、刑事裁判所への出廷が命じられる。刑事裁判所への召喚状発行に当たり、警官は上司の許可を得なくてはならない。
同条例の施行についてNYPDのトーマス・ターフェ警視正は、「警官がパトロールしている限り、常に軽犯罪には注意を払い、無視することはない」と話した。