【27日ニューヨークタイムズ】ニューヨーク市の老舗書店として知られるマンハッタン区イーストビレッジの「ストランド・ブック・ストア」が今月、90周年を迎えた。
同書店を1927年に創業したのはベンジャミン・バスさん。当時、4番街のアスタープレイスから13丁目にかけては「ブックロウ」と呼ばれ、複数の書店が軒を連ねていた。家賃の上昇とともに多くが店を閉じた中、経営を続けられたのは周辺の土地を所有する家主とバスさんが親友だったからだ。56年には市から立ち退きを迫られたが、1年後、息子のフレッドさんがブロードウェーと12丁目の角に移転させ、現在に至る。
店内には新刊、古本から稀少本に至るまで250万冊が所狭しと並べられている。最も高価な本は、ジェイムズ・ジョイスのサイン入り小説「ユリシーズ」で3万8000ドル(約426万円)。最も古い本は1496年に出版された「マグナ・モラリア」で4500ドル(約50万円)だ。
経営に参加する孫のナンシー・バス・ウェイデンさんは、通販などで本を買う時代でも人気を保つ秘訣について、「ここでは時がゆっくりと流れている。忙しいニューヨーカーの憩いの場になっているのだと思う」と話している。