16歳のお年寄り猫タイガーは、いつも蛭田(ひるた) さんにべったり。ガキ大将だったタイガーは、年を取ってまた子猫時代に戻ったそうです。
——タイガーとの出会いは?
ボーイフレンドのお母さんが近所でも有名な猫好きだったので、誰かが捨て猫を彼女の元に連れてきたんです。それが生後わずか1カ月のタイガーでした。
もらってきたボーイフレンドが、シャツの胸ポケットから子猫を出してきたときにはびっくりしました。本当にちっちゃくてかわいくて、すごくうれしかったんですが、うちには当時3歳のチャチャという雌猫がいたんです。彼女はシェルターに6カ月いたせいか、人も猫も近づけさせないほど神経質だったので、最初の1週間は毎日ケンカして大変でした。チャチャは3年前に18歳で亡くなりました。
——2匹のエピソードは?
5年前に帰国したとき、友達に2匹の面倒を見てもらったんですが、チャチャはベッドの下に潜り込んでご飯も食べず、私が引き取りに行ったときにはガリガリに痩せていました。ところがタイガーはコロコロに太っていたんです。チャチャはすぐバッグの中に入ってきたのに、タイガーは帰りたくないといやがるので、しかたなくもう1晩友人宅にお泊まりさせました。悲しくて、その晩は泣いてしまいました。
——タイガーはどんな性格ですか?
すごく人懐っこくて誰かが周りにいないとダメな子です。でもガキ大将みたい
で、ご飯も自分の分をすごい勢いで平らげると、チャチャのお皿に強引に顔を突っ込んで食べていました。チャチャは、しょうがないなって感じで譲っていましたね。
知らない人に触られても全然平気。だけどお医者さんに行くのは大嫌い。シャーシャーと威嚇して獣医さんたちが押さえつけても大暴れ。「うちではとても診察できません」と言われてしまいました。
——タイガーは蛭田さんにとってどういう存在ですか?
私は子どもがいないので、わが子ですね。もし病気になったら、この子のためなら治療費がいくらかかっても構いません。病気知らずで、手がかからない子ですが、さすがに年を取って腎臓が悪くなってきました。でもまだまだ元気でいてくれています。
【 教えて!シンゴ先生 】
アニマルシェルター/動物病院のヒューメインソサエティー・オブ・ニューヨークで獣医師として活躍する添田晋吾先生にペットの健康について聞きました。
添田晋吾
1995年山口大学農学部獣医学科卒業。2000年に来米し07年に米国獣医師免許を取得。ヒューメインソサエティー・オブ・ニューヨークに勤務する傍ら、東洋と西洋の医学を併用し、老犬のペインコントロールやQOLの向上を目的とした獣医療にも取り組む。
Qこの時期、気になるのが熱中症です。その症状と対策を教えてください。
A圧倒的に猫よりも犬が高リスクです。熱中症は閉ざされた空間で換気がなく、熱が拡散できない環境で発生します。
車中に置き去りにされたり、炎天下にキャリアーに長時間閉じ込められたりした場合などに発生することが多くみられます。
症状は、初めに浅く早い呼吸(パンティング)とヨダレが見られ、口や目の粘膜が充血して、ひどくなると下痢や嘔吐、神経症状を示し、対処が遅れると死に至ります。ブルドッグやパグなどの短頭種、ハスキーやセントバーナードなどの北方出身の犬種は高リスクです。
肥満や心臓病などの既往症もリスクを高めます。短時間でも決して犬を車中に置いていかないことです。部屋に置いていくときはエアコンなどで温度と湿度を調整し、飲み水を十分に与えることが重要です。
外が高温多湿のときに散歩に行かないことも大切です。犬は地面に近いところを歩くため、熱くないと思っても高温にさらされる可能性があります。熱中症の疑いがあるときは飲み水を与えて首から下を水に浸け、扇風機で体温を下げてあげましょう。冷たすぎる水は逆効果になることもあります。濡れたタオルで体を包むのもNGです。重症の場合は水に浸けた後、迷わず緊急対応してくれる動物病院へ行きましょう。
猫の熱中症はまれですが、室温が高くなるようであれば、温度湿度を管理しましょう。
熱中症は予防できる病態なので、毎日温度や湿度をチェックして対処してください。