元気の道しるべ Story 1 【 股関節の不調 】岡本ひとみさん(54)

元気の道しるべ Story 1
病気になって初めて気づくこと、始めた習慣、出会えた人。
病気をプラスに捉えたら、人生が違って見えてくる。焦らず慌てず生きましょう。

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他人の意見に惑わされることなく、
自分の体の知性に耳を傾ける。
 【 股関節の不調 】 岡本ひとみさん(54)
アーユルベーダセラピスト/ブルックリン区在住
http://www.8minheaven.com

 「公園で会いませんか? 気持ちいいですよ!」。木漏れ日が心地よいユニオンスクエアのベンチに腰掛けて満面の笑顔で迎えてくれた岡本ひとみさん。紺と白のサマードレスがよく似合っている。

ギックリ腰と股関節の痛み、対処法なく途方にくれる
 「ほら、こんなに歩けるのよ」と、ベンチから立ち上がって歩いて見せてくれる岡本さん。今日は自宅があるブルックリンからマンハッタンまで地下鉄で移動。さっそうと歩いているが1年前は、股関節の激しい痛みに悩まされ、歩くのもままならなかった。
 「数年前に突然ギックリ腰になったのが始まり。噂には聞いていたけれど、本当に動けない。その後、ギックリ腰を繰り返すようになって、夜はトイレに這って行ったくらい。整体で診てもらうと一時的に良くなるけれど、1週間しかもたなかった」
 歩行の際に違和感があり、歩き方が変になっていることにも気がついていた。そのうちに右の足の付け根が痛くなり始めた。座骨神経痛かと思うほどの電気的な痛みだった。しまいには足が上がらなくなり、車のブレーキも踏めない状態に。整形外科でレントゲンを撮ると、「筋肉がカチカチに固まっていて骨が変形している。5年くらいしたら手術が必要」と言われた。適切な薬もなく、身長の低い人は「だましだまし生活するしかない」と聞かされて大きなショックを受けた。自分でもインターネットであれこれ調べたが、対処法が見つからず途方に暮れた。

50歳を過ぎて調子を崩す

 「若いころは健康だったので、甘えていたんですね。これまで自分の体について何も気にしていなかったけれど、さすがに50歳を過ぎると不調があっちこっちに出てきて…。アーユルベーダの体質タイプで、カパ(水のエネルギー)の人は、年をとると太りやすいとされていますが、私もカパ。運動不足やいろんな条件が重なって、あれよあれよという間に体重が増え、腰と股関節に負担をかけた揚げ句ギックリ腰になり、股関節も傷めてしまったというわけです。時期を同じくして、それまでお肉が大好きだったのに、ベジタリアンに宗旨替えしたのも良くなかった。いま振り返ると、食生活の変化による栄養バランスの乱れと、加齢に伴うホルモンの変化などが重なり、いっきに体調を崩したんだと思います」

岡本さんの愛犬、サリーちゃんもBEAMERの上でご機嫌

岡本さんの愛犬、サリーちゃんもBEAMERの上でご機嫌


血流療法で奇跡的に回復

 転機が訪れたのは1年前のセドナ旅行だった。思いがけず友人から「BEMER(ビーマー)血流セラピー」を教えてもらったのだ。これは、パルス電磁波が全身の血流を毛細血管まで行き届かせるという機器。マットの上に横たわるだけでさまざまな症状に効果が期待でき、副作用もないことからアーユルベーダの専門家たちが推奨しているとも聞いた。
「当初は自分の股関節のためではなく、アーユルベーダの施術に取り入れようと思い、購入を決めました。自分で初めてBEMERを体験した日は、午前中に1回8分、夜、就寝前に1回8分横になりました。そのときには感じなかったのですが、翌朝目が覚めると体が軽くて、あれっ!と思いました。股関節の痛みも軽くなっていましたし。あっという間に朝で、窓の外で小鳥がチュンチュンと鳴いていた。ぐっすりと眠ることができた証拠で、今でもあのときの感動を覚えています。それ以来、BEMERを毎日使い続けて、半年経ったころ、自分の体の変化に驚きました。1年経った今では、普通に歩けています。血流が良くなることで細胞に栄養が行き渡り、骨も筋肉も強くなることを実感。本当に奇跡です」
「世間は『腰痛にはあれがいいこれがいい』などと言うけれど、アーユルベーダの理論では、『自分の体が何を欲するか、自分の体の知性に耳を傾けることが大切』とされています。要するに人の意見に惑わされないことだと思います。大切なのはバランス。ヘルシーで、簡単で、バランスがとれていて、体がおいしいと感じる食事。お米は白米、玄米、五穀米を混ぜて炊きます。もちろんお肉も食べます。幸せな気持ちで食べると、体から『良いエキス』が出るんですよ(笑)。それから血流。ゴースト化した毛細血管を流すことで、体が自然に癒されていきます」

家族のありがたみを実感
 ニューヨーク在住27年の岡本さん。今年の春は80歳になるご両親に会いに日本に短期帰国した。最近は家族のありがたみを改めて実感しているという。西海岸やフロリダ、東南アジアなどにも旅行で訪れているが、インドには2004年から毎年通っている。
 「インドは、忘れていた何かを思い出させてくれます。家族のありがたみや目に見えない世界が存在すること、祈ることの大切さもその1つですね。私たちはご縁があってニューヨークで暮らしているのですが、日本人同士が、家族のように助け合っていければいいですね」
*次回は9月8日号に掲載します。

岡本さんの元気の道しるべ
❶ 笑顔を忘れずハッピーでいる
❷ バランスよく食べる
❸ 楽しみながら運動する。無理は禁物

取材・文/渡辺奈月 ヘルス&ウェルネス・コンシェルジュ。米国でファンクショナルメディスン(機能性医学)を学び、ヘルスリトリートにも多数参加。自らの体験も含め知見を深めながら健康や心のあり方に関する情報を発信し、子どもから高齢者まで健康指導も行う。ブログ:http://gogonatural.weebly.com