何歳から学校に入れる? 就学前の幼児教育(2)

 
前号では日本と米国の未就学児教育の制度の違いについて解説した(www.dailysunny.com/2017/09/18/edusun09)。
今回はプリスクールの選び方とそのための資料を紹介する。

キンダー入学前(公立、私立)までの流れ

低所得者向けのヘッドスタートプログラム以外は、基本的に学費を支払う教育施設になる。
①0歳から:デイケア/ナーサリー   
 キンダー入学前まで続くプログラム、プリスクール入学までのプログラムなど。
②2〜3歳:ナーサリー/プリスクール 
 キンダー入学までのプログラム。半日、全日、隔日など。働く保護者のために延長制度を設けるところもある。
③4歳:ナーサリー/プリスクール/公立プリキンダー
 プリスクールにとどまるか、無料の公立プリKプログラム「Pre-K for All」に入学する。市教育局と提携するプリスクールでは、在籍したまま 公立プリKプログラムに参加できる。
④日系スクール
 公立プリKかキンダー入学までは、日系幼稚園やデイケアで過ごすか、週に半分ずつ通学するダブルスクールの選択もある。

プリスクールの種類

私立学校には大きく分けて教会系の学校(parochial school)、地域に根ざした(community base)教育系団体や個人経営の学校、団体や公的資金と無関係に運営されているインデペンデントスクールがある。
 プリスクールで「アーリーチャイルドフッド」と称されるのは、キンダー就学前までの教育施設、「オンゴーイング」と称される場合は、その後キンダーから高学年に続く一貫教育施設になる。私立一貫校へは最低学年からの入学が望ましいことから受験競争は熾烈だ。私立一貫校への進学で有名なプリスクールへの入学も同様に受験が行われる。

 
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学校を探し始める時期

一般的には入学の1年前から申請手続き(アプリケーションプロセス)が始まる。空席があればいつでも入学可能な「ローリングアドミッション制」を採用する学校もある。3歳のプリスクール入学のためには、2歳の夏から秋に始まる申請手続きの準備として、1歳半から2歳の誕生日までには、興味のある学校を探し始めるのが望ましい。私立校進学を視野に入れている家庭は、妊娠時から学校探しを頭に置く家庭も多い。保護者の面接やエッセー提出、子どもの面接やプレイデートで様子を見るなどの「お受験」が必要な学校もある。

 

私立校受験と公立校進学の場合

 キンダーから公立校に進むか私立校進学を目指すかで、学校選びの優先順位も変わる。
 特に有名私立校進学を目指す場合は、キンダー受験において「エクスミッション(Exmission)」と呼ばれる進学指導の良し悪しが学校選びのポイントの1つになる。プリスクールの専門スタッフが、高校・大学進学さながらに受験をサポートし、進学実績が学校のウェブサイトに掲載されている場合もある。
 プリスクールから公立校へ進学する家庭も多い。公立キンダー進学の申請手続きも複雑で、多くの情報や知識が必要になるが、プリスクールの進路指導者が公立校入学の結果に影響を及ぼせるシステムになっていない。私立校受験では学校同士のつながりや進路指導者の個人的な指導力が影響するが、公立校進学では学校同士のつながりや、どのプリスクールへ通学したかは関係がないからだ。プリスクールの教育方針が気に入り入学することはあっても、希望する公立キンダーへの入学を有利にするために授業料が高額な有名プリスクールを選ぶ必要はない。

 

Mommy Poppinsウェブサイトの「New York City Preschool Listings and Guide」ページ。サイト内で各地域のスクールリストも検索できる

Mommy Poppinsウェブサイトの「New York City Preschool Listings and Guide」ページ。サイト内で各地域のスクールリストも検索できる


 

学校探しのリソース

市教育局発行の公立校ディクレトリーのような、全市のプリスクールを網羅したリストはないが、
以下参考になるリソースを挙げる(表1を参照)。

The Independent Schools Admissions Association of Greater New York (ISAAGNY):
ニューヨーク市と近郊都市のプリから高校までのインデペンデントスクール約140校が加盟。申請手続きの一括管理、情報提供を行う。ウェブサイトに加盟校リストを掲載。
 
Parent League:
プリスクールを含む私立校進学を目指す家庭への情報提供やサポートを行う。年会費は250ドルだが、非会員でも参加できるセミナーもある。ウェブサイトに提携校リストを掲載。

The Manhattan Directory of Private Nursery Schools, 7th Edition (by Victoria Goldman、2012 ):
情報は少し古いが、初心者がどのような学校があるかを知る入り口としては、各校のウェブサイトを訪れるよりも簡単かもしれない。

NYC School Help :
ブルックリン区の学校コンサルタントのウェブサイト。プリスクールから高校まで地域の詳細な情報を発信。ワークショップや個人コンサテーションもある。

Mommy Poppins:
子育て情報サイト。「New York City Preschool Listings and Guide」ページ(サイト内検索する)が充実。

New York Family /NY Metro Parent:
子育て雑誌2誌の公式サイト。それぞれプリスクールリストが検索できる。

The Montessori Foundation:
アメリカモンテッソーリ教育の公式サイト。ResourcesタブのParents Recoursesから各地のモンテッソーリ学校を検索できる。

Waldorf Education:
シュタイナー教育公式サイト。Find a Schoolタブからシュタイナー学校を検索できる。

Reggio Emilia Alliance:
日本では認知度は低いが、モンテッソーリ、シュタイナーに並ぶ革新的な幼児教育。学校検索もできる。

(文・河原その子)