契約社会のアメリカでは、芸術家も契約書に触れる機会があると思います。今回は絵や立体作品を作成するアーティストがギャラリーに展示する場合や、作品の売買のときに注意すべきことを簡単にご説明したいと思います。
契約者と対象の作品、
その他必要項目について
当たり前のことですが、誰と契約するのかをまず確認する必要があります。ギャラリーの場合はギャラリー名ではなく会社名が記載されているかもしれませんが、後々に問題があった場合を考慮して、契約者を明確にした方が良いと思います。また、作品展示期間、ギャラリーにコミッションを支払う場合はそのパーセンテージ、使用料を支払う場合はその金額についておよび、他にかかる費用の有無、搬入搬出の費用やタイミングなどをご確認ください。また作品の値付けや、売れた場合の支払方法についても確認が必要です。
作品に損傷があった場合
規模の小さいギャラリーでは保険がなく、作品に損傷があった場合は何も補償がないところも多いかと思います。また補償がある場合も作品全体の金額補償ではなく、損傷箇所の修復代のみの支払いの場合もあるかと思います。立体作品の場合はお客さんが触って壊す場合も十分考えられますので、契約時に確認をされることをお勧めします。
作品売却の場合の著作権について
アーティストが作品を売却した場合、通常は所有権は購入者に移っても作品の著作権はアーティストに帰属します。そのため、購入者は勝手に購入した絵を使ってその複製をしたり、商品を作成することはできません。ただしアーティストが望めば著作権も含めて売却することもできます。著作権については書面にて明確にすることが重要です。
契約内容の交渉
こちらはアメリカ社会のどんな契約書でも一緒ですが、通常は契約内容についての交渉が可能です。変更したい項目があれば、思い切って交渉してみましょう。
今月のお店
Ciccio Cafe
190 6th Avenue
ソーホーのイタリアンレストラン、Ciccioに併設する
カフェ。ホームメイドの焼き菓子もおいしい。
飯島真由美 弁護士事務所
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NY州認定弁護士。法政大学文学部、NY市立大学ロースクール卒業。みずほ銀行コンプライアンス部門を経て独立。2010年に飯島真由美弁護士事務所を設立。家庭法、訴訟法、移民法など幅広い分野で活躍中。趣味はカフェ巡り。